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黒ひげ危機一発を確率の観点で考える

誰しも一度はやったことがあるであろうゲーム、黒ひげ危機一発について確率の観点で考えてみたら直感と反する面白い結果だったので紹介します。

頭がいい人は当たり前だろと笑っちゃう内容かもしれませんが笑

 

ところで黒ひげ危機一発では剣を順に刺していくわけですが、何番目が一番危ないと思いますか?逆に何番目が一番安全そうですか?

 

1番目で飛び出したら運が悪いなーなんて思いませんか?私はそう思っていました。

しかし、実は剣が1本も刺さっていない初めの状態では、黒ひげが飛び出す確率は何番目でも同じなんです!

 

剣が1本も刺さっていない初めの状態という条件が大切です。

例えば剣を刺す穴が10個ある場合、剣が1本も刺さっていない初めの状態では10番目に飛び出す確率は1/10(なぜかはこの後説明します。)ですが、既に剣が9本刺さっている状態では10番目に飛び出す確率は1です。

 

このように既に剣が何本刺さっているかによってその後に飛び出す確率は変わります。

ですので、私がここで言っているのは「剣が1本も刺さっていない初めの状態では、黒ひげが飛び出す確率は何番目でも同じ」だということを最初に理解していただきたいです。

剣が1本も刺さっていないというのは要するにゲームスタート時ということです。

 

それではこれについて、「穴がn個ある黒ひげ危機一発に剣を刺していくとき、ゲームスタート時におけるm番目(1<=m<=n)に飛び出す確率Pmを求めよ。」という問題を解くことで説明していきます。

前提として黒ひげが飛び出す穴は1つとしています。

 

ゲームをスタートして剣を1本ずつ刺していきm番目で飛び出すという事象は、

  • 1本目が外れる事象
  • 1本が刺さった状態で2本目が外れる事象
  • 2本が刺さった状態で3本目が外れる事象

   ...

   ...

  • m-2本が刺さった状態でm-1番目が外れる事象
  • m-1本が刺さった状態でm番目が当たる事象

という複数の事象が重なって起きることといえます。(補足 : 上記の「何本かが刺さった状態」というのは「何本かが刺さっていてかつ黒ひげがまだ飛んでない状態」のことです。)

そしてこれら事象は互いに独立しています。互いに独立しているというのは、互いに影響し合わない、ということです。

 

例えば穴の総数が10個のときで考えると、

1本が刺さった状態で2本目が外れる事象が起こる確率は8/9

そしてこの事象が起きようが起きまいが

2本が刺さった状態で3本目が外れる事象が起こる確率は7/8

になります。

 

いやいや、1本が刺さった状態で2本目が当たったら、3本目が外れる確率は1じゃないかと思うかもしれません。

ここが少しややこしいのですが、今は何本かが刺さっていてかつ黒ひげはまだ飛んでない状態を前提とした上で、次の1本が外れる事象を考えているので、それが起きる確率は残りの穴の数にのみ依存しており、他の事象が起きようが起きまいが一定の値ということです。

 

互いに独立した複数の事象が重なって起きる確率はそれぞれの事象が起こる確率を掛け合わせた値に等しいことが分かっています。

よって穴がn個ある黒ひげ危機一発に剣を刺していくとき、ゲームスタート時におけるm番目に飛び出す確率を求める式は以下のようになります。

 

(穴がn個ある黒ひげ危機一発に剣を刺していくとき、ゲームスタート時におけるm番目に飛び出す確率Pm)

=(1本目が外れる確率)

×(1本が刺さった状態で2本目が外れる確率)

×(2本が刺さった状態で3本目が外れる確率)

× ...

×(m-2本が刺さった状態でm-1番目が外れる確率)

×(m-1本が刺さった状態でm番目が当たる確率)         …式(★)

 

 

今、穴の総数がn個の状況を考えます。k-1本が刺さった状態でk番目が当たる確率をpkとすると、pkは残っている{n-(k-1)}=(n-k+1)個の穴のうち、当たりの1個の穴を選ぶ確率なので、

pk=1/(n-k+1)

となります。

逆に、k-1本が刺さった状態でk番目が外れる確率をqkとすると、pkと足して1にならなければいけないので(pkの余事象)、

qk=1-pk=1-{1/(n-k+1)}=(n-k)/(n-k+1)

となります。

 これらを式(★)に当てはめると

 

Pm=q1×q2×q3× ... ×q(m-1) ×pm

=(n-1)/n × (n-2)/(n-1) × (n-3)/(n-2) × ...× (n-m+1)/(n-m+2) × 1/(n-m+1)

=1/n

(↑前後の項の分母と分子で打ち消しあう)

 

となります。この式は、確率Pmは何番目に飛び出すかを表すmには依存せず、穴の総数nにのみ依存し、その値はnの逆数ということを示しています。つまりP1=P2=P3=...=P(m-1)=Pm=1/nです。

よって黒ひげが飛び出す確率はゲームスタート時は何番目でも同じく1/nということがいえました。(黒ひげ危機一発の穴の総数は実際は24個なので1/nは約0.0417となります。)

これはもっというと、ゲームスタート時では1回目で当たる確率も穴が最後の1個になるまで外れ続ける可能性も同じということです。

 

ではなぜ1回目で当たるのや最後まで当たらないのは珍しく感じるのでしょう?

以下のように考えられます。

 

n=24のとき1回目で当たる確率P1=1/24です。

逆に、1回目で当たらない確率=1-P1=23/24です。

つまり高確率(23/24)で1回目は刺しても当たらないということです。

 

n=24のとき24回目で当たる確率P24=1/24です。

逆に、24回目以前のどこかで当たる確率=1-P24=23/24です。

黒ひげ危機一発は普通黒ひげが飛んだらそこで仕切りなおします。

つまり高確率(23/24)で24回目までは行かないということです。

 

当たったらそこでやめるというゲームの特性上、序盤ほど刺しても外れる場面に多く遭遇するので、はじめの方に当たると珍しい感じがするんですね。また後半ほど刺す場面に遭遇しないので、最後の方まで当たらないとこれもまた珍しく感じるんですね。

しかし実は何回目で当たるのも同じだけ珍しいということです。

 

確率ってなんだか面白いですね。

(もし間違いがあったらごめんなさい。絶対的な自信はありません。)